TCHについて
TCH (ティーシーエイチ)と言って聞いてピンときた方は、先日のTV番組を見た方だろう(たけしのみんなの家庭の医学)。
「Tooth Clenching Habit : 習慣性かみしめ」の略称である。
ただし、学術的にはまだ統一、認知された呼称ではない。現時点で学術的には、「Awake Bruxism : 覚醒時ブラキシズム」という言い方が未だ主流であるが、”TCH”という命名はコンパクトで一般の方にもわかりやすいような気がする。
日中、意識しないままに上下の歯があたることで咀嚼筋が活動を誘発され疲労が起こり、その結果、顎関節症や肩こりをはじめとする種々の愁訴が生じるものとされている。
「とされている」と、少々心許ない言い方なのは、この現象自体なかなか確認しがたいものだからだ。実際には、その人に終日計測装置をつけてせいかつしてもらいでもしないと、本当に咬んでいる(あたっている)のかどうか、正確にはわからない。
本人が一番わかっていそうなものだが、無意識行為が本態なので、本人申告の信憑性は思いのほか低い。
私はたまたま昨年、これら口腔や顔面の慢性痛に関連する科学的研究を行う、「日本口腔顔面痛学会」の指導医資格を取得した。指導医とは専門医を育成することができるという意味であり、より上級の専門医という位置づけでとても重みを感じている。
とはいえ、学際領域的な内容のため、当学会の専門医に求めるすべてを私が有しているかと自問するとき、まだまだ身につけるべきことがたくさんあると痛感する。
なにしろ、私に限らず当学会初の専門医制度であり、すべての指導医、専門医資格は当面「暫定」、今後引き続き精進して所定の要求事項をクリアしていかねばならない。
偶然であるが、なかい歯科では月一回若手ドクターを中心にしたTCHを含んだブラキシズム全般に関しての勉強会「Kyoto Dental Reading Club」を主催して立ち上げた。本当に大切なことと自分の頭で判断し、実際に組織化していくと有機的に発展していくものだと感じている。
さて、その立場で先ほどの話に戻ると、意見の相違がわずかにあるものの、そうした病態の存在が一般向けに開示され、認識されたのは意義深い。なにしろ、ある日ドクターから、「あなた日中食いしばっていませんか?」と言われても「そんなわけない」と思うのが一般的だから、ああいう形でその存在を示してもらえたのは、我々臨床医としては患者さん自身に自覚を促す意味で大きなサポートとなる。
来週もまたKDRCがある。英文資料30ページ分、また読んでおかなければ。

