My Lovely Old Italian Cello
こんにちは、なかい歯科 御所南ほてつインプラントセンター 中居です。
チェロを買った。業界用語でいわゆる「オールド」と呼ばれる100年以上前のものだ。
真作でコンディションがよければクリスティーズやサザビーズで売買されるようなものだということを後で知った。それにしては、ゼロが一つ足りないくらい安い・・・。疑念が膨らんだ。
修理が必要なのは素人目にも明らかだったので、まずは紹介を受けたプロに一任して手を入れてもらうことにした。
修繕後のプロからのコメントは以下のようなものだった。
「古いことは確かで、「オールド」らしい良質な美音をもつ個体である。しかし、本来持っていたであろうパフォーマンスではないだろう。いかんせん健康状態が悪すぎる。たとえば、、、、(中略~具体的な構造上の脆弱ポイントの説明)、、、音量に限界があり、物理的耐久性にも不安がある。」とのこと。
総合して要約すると、それを直すことは技術的には可能であるが、それには良質なものが一台買える位の費用がかかるし、それをしたとしてもかつての絶頂期のパフォーマンスが再現されるかというとそれは確約できない。であれば、新しい物を買うというのも一手であると。
いやはやこれは驚いた、まるで、ダメージを受けた歯をほてつ治療する時と同様な判断決定が要されているではないか。妥協的に残すか?、再治療を施すか?、はたまた積極的に抜いてインプラントのような予知性の高い積極策へステージを進めるか?、というような。
店のご主人は緩やかな時間の中でとつとつとその説明をされた。その時間の流れの中、本来困難と思われたその選択肢に、自分でも驚くほど迷いなく回答を出した。
「このチェロをこのままで寿命尽きるまで付き合おう。」
改めて、「説明」というのは本当に大切なことだと思った。過不足ない説明というのが大切なのは言うに及ばない(それは卒直後のドクターの目指すレベルだ)。説明の聞き手レシーバーに同調し、スッと届く固有の周波数というのが間違いなくある。それは、時々「相性」というあいまいな言葉で語られるけれど、語り手が、レシーバー個々が持つ異なる周波数に、ピタッと合わせられることが、本当のプロ中のプロなのだと思う。
さて、私はチェロに関してはアマチュアだ。人に聞かせるつもりもない。100年以上を生き抜き刻まれたかつての名器の歴史に思いをはせ、秋からこのチェロの余生にゆっくりと寄り添い、ご機嫌を伺いながらやさしく弓を走らせようと思っている。
これが本ケースにおける私の臨床判断だ。


